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喜びも、悲しみも

今日はポレポレ坐ビル全体がひっそりとしていて、今、目の前のモニターに流れている祝島の映像がビル全体に響きながら、この一年半の出来事が現れては消え、消えては現れ、していくようです。

今年は、祝島に始まり、そうして祝島で終わろうとしています。

12月20日、最後の撮影を終えて祝島を出た時は、こんなに多くの人の力と思いと願いを作品というひとつの形にすることの責任の重さを感じて緊張が続いていましたが、東京に戻って、撮影した最後のテープを観終わったとき、全身の力が抜けました。

この一年半、大きな事故もトラブルもなく、健康に、最後まで撮影を終えることができたのは、スタッフの皆さん、そして祝島のみなさん、応援団の方々、そして目には見えない大きな力があってのことと思っています。

最近、よく思うことですが、監督という仕事は、自分の思いを発することから始まるものではありますが、でもそれからの行程は、目の前に起こること、そしてそれらに関わる人、ひとりひとりの思いをひたすら受け取る、ということの連続なのだなあということです。

祝島で出会ったおひとりおひとりの、
映画製作に賛同して応援する会に入って下さったおひとりおひとりの、
必ずいい映画になる!と言い続けている本橋さんの、
自分の思いを撮影に込め続けた大久保さんの、
一緒に走り続けてくれているきさらちゃんの、
ここには挙げきれないたくさんの方々の、
そしてこれからまた映画を通して出会う方々の
ひとつひとつの思いを受け取り、束ねて、形にまとめあげていくことなのだなあと思うのです。


つくづく、“好き”ということのパワーは絶大だなあと思います。祝島と、そしてそこで出会った人を好きになったことからすべてが始まり、そうして今もその気持ちを原動力にして、走り続けています。好きになると、もっともっと色々と知りたくて、一緒にいたくて、共感したくて、そうして祝島に通い続けた日々でした。

よく言われることですが、「一人よりも二人がよい。二人になれば喜びは2倍、悲しみは半分」と言いますが、私は違うと思っています。やはり悲しみも2倍になると思います。そして、そうでありたいと思っています。人と出会うということ、人の思いを知るということは、喜びも痛みも伴うことなのだとあらためて思います。そして何かと出会うということは、その瞬間から自分自身が変わっていく、ということなのだろうと思います。

祝島の人と共に過ごした時間、楽しいことも、嬉しいことも、悲しいことも、悔しいことも、怒ったことも、笑ったことも、泣いたことも、たくさんのことがありました。これからもそれらを抱き続けていくのだと思いますが、でも、一番強く残るのは、“喜び”だろうと思っています。その喜びを、これから作品を通して、そして私自身の生き方で表現していきたいなと思っています。

これからは、来年の初夏の公開を目指して、編集作業に打ち込みます。

祝島にいなくても、今、この時を、同じ日本のあの島で、みんなが毎日一生懸命生きている、そこには美しい海の気配と風の音、そして積み重ねられた石垣、その風景を思い浮かべただけで、「大丈夫。万事上手くいく!」という気持ちになります。私の中に、祝島がぽっかり浮かんでいるようです。

さあ、来年まであと一日です。




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  1. 2009/12/30(水) 23:50:17|
  2. 映画製作
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