応援する会を立ち上げていただいて以来、ほぼ毎日、数件の協力金が寄せられています。
本当にありがとうございます。心からお礼申し上げます。
お一人、お一人にお礼のお手紙を書きながら、どのようにこの映画のことを知り、何を想ってご自分の大切なお金を協力金としてお寄せいただいたのだろう、と思い巡らしています。
私の心を揺さぶった祝島の人たちのことを映像におさめたい、そして伝えたいという一心ではじまったこの映画製作。私にとっては、初監督作品であり、まだ海のものとも山のものとも知れないものに、みなさんの想いを重ねていただけることが、本当にありがたく、同時に、いかに祝島の背景にあるものに関心をお寄せいただいている方が多いかということも感じ、大きな責任も感じています。そして、何よりもこのようなたくさんの想いに支えられ、この映画製作を進められることに感謝の気持ちでいっぱいです。
協力金は、当面は、来年いっぱい続く撮影費として使わせていただくことになります。撮影隊としてはもっとも最小単位の二人(監督&カメラマン)で撮影しています。現地では空家をお貸りし、また食べるものも差し入れがほとんどで、島のみなさんからも強力なバックアップをいただいているので、島での滞在中はまとまったお金がほとんど必要ありません。撮影費の中で一番大きなウェイトを占めているのは、交通費となります。
この映画製作に関しては、とにかく時間をじっくりかけて、できるだけ多くの時間を島の人たちと一緒に過ごして生活の様子を撮影していきたいというのが私の希望です。そのために、これから島に通う回数もますます増えていくと思います。どうぞよろしくお願い致します。
昨日、東京に戻ってきました。
夜行バスからはじまり、室津~祝島~山口県庁~長野小諸と長い道程でした。
さあ、たまっているお礼のお手紙書きをはじめようと思います。
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- 2008/10/31(金) 12:51:04|
- 応援団
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今は、長野に向かう新幹線の中にいる。
今日、朝便で約80人の人と島を出て山口県庁に向かった。室津から貸切バス2台に分乗。車内では、いつもの調子でにぎやかなおばちゃんもいれば、乗り慣れないバスに酔ってつらそうなおばちゃんもいる。私達は、後ろの席にいたハーちゃんからモイカの一夜干しをもらって早くもお腹がいっぱいになる。
今回の県庁行きは、先日の知事が出した『公有水面埋め立て免許許可』の取り消しを求めての集会を県庁前で行うためである。
このような県庁行きをこの26年の間に、もう何度繰り返してきたのだろう。その度ごとに、島のたくさんの人たちが、繁忙期であれ、稼ぎどきであれ、漁に出るのを止めて、山仕事を休み、お店を閉めて、みんなでお金を出し合って、大型バスをチャーターして、慣れないバスに揺られて、一度も面会しようとしない知事に、陳情するために出向くのである。そのためだけに時間とお金と体力と、そしてなによりも心を消耗するのである。
今は県庁から長野に向かっている。島の代表者が小諸で報告会を行うことになっていて、そこに合流させていただく予定だ。下記がその会である。
祝島島民が語る「上関原発計画の今」
10月29日(水)
18:30開始
小諸市民会館3階大会議室
(小諸市相生町3-3-3)
参加費:無料
問合わせ先:桑田さん(09018654836)
島の人たちと合流できるのは、今日の日付を越える頃になりそうだ。
- 2008/10/28(火) 21:34:25|
- 原発
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今日は一日、風が強く、海も白い波が立っている。
カメラマンの大久保さんは、今日の晩便の定期船で合流するため、それまではいつものごとく、ひとりで島の人たちを訪ね歩く。午前は東の山、午後は西の山を廻った。
島に来るたびに、東の一番どん詰まりにあるタイラさんの棚田に必ず出かけることにしている。この棚田がすごいのだ。日本一の石積みの高さといわれているその光景は圧巻である。島の観光名物になっていて、集落から山道を歩いて40分というのに、お客さんはひっきりなし。タイラさんは、田んぼもびわもみかんもひとりでしているので、いつでも大忙し。それでも、突然の訪問者にも、忙しい手を休めて、快く迎え入れてくれる。そうして私も、タイラさんと話しがしたくなって、顔を見ないとなんだか落ち着かなくて、毎回、通っているのである。
お昼前に訪ねたら、「いっぱい飲んでいかんかね」とビールを差し出され、そりゃあもうふたつ返事で囲炉裏の前に上がり込む。つまみに、今年とれたモイカ(アオリイカ)をあぶってくれた。これがもう絶品。普段、口にするサキイカでは食べたことがないような、甘みが口に広がる。
囲炉裏に枝をくべながら、またたくさんの話しを聞かせてくれた。そのひとことひとことが、私には宝物箱から飛び出てくる、キラキラと輝く宝石のように思えてくるのである。ああ、これをみんなに聞いてもらいたい。タイラさんの話を聞いているといつもそう思う。
「それにしても、日本の片隅にあるちっぽけな島のこんな小屋で、どうしてあんたと私が二人でいるものかね…。不思議な縁というものじゃね。」
「ほんとにそうだね、不思議だね。」
「ワハハハハッ」
ビールが飲み終わる頃には、電気の入っていない冷蔵庫(ここには電気は通っていない)から、ドンベイきつねうどんを出して、「あんたこれ食べんさい」
山の湧水を囲炉裏で沸かして、カップラーメンをいただく。うまい!こんなにカップラーメンがおいしいものとは。身体が芯からあったまる。
おいしい、おいしいと言って食べる私を見て、タイラさんはいつものようににっこり微笑むのである。
- 2008/10/28(火) 00:12:59|
- 撮影編
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この映画のプロデューサーである本橋成一さんの四作目の映画となる『バオバブの記憶』が完成した。24日に初号の試写会が行われたが、私は泣く泣く途中で退席して、夜行バスに乗り込んだ。映画を途中から観ること、そして途中で止めることほど、せつないことはないものである。(『バオバブの記憶』については、またあらためて書きたいと思う。)
翌日、25日は「室津で上関原発の埋め立てを許さない人々の集い」があり、そこで祝島の人たちと合流。会終了後は、ヒサちゃんの船に乗せてもらってそのまま祝島へ。
20代の時は、へっちゃらだった夜行バスも、やはり歳のせいだろうか。夕食を食べていると、「あんた食べながら寝ちょるぞ」とノリちゃんにつっこまれる。最近続いていた東京生活では、考えられないほどの早い時間に就寝。久々にぐっすりと熟睡した。
東京と祝島と行ったり来たりの生活が始まってからというもの、自分の中では、ちょっとした海外に行くぐらいの、時差やら感覚のギャップがある。この調整をするのに、祝島に来たときには一日、東京に戻った時には一週間ほどかかってしまうのである。。。
- 2008/10/27(月) 00:57:02|
- 撮影編
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さきほど帰宅し、今、遅い夕食を終えた。ここ一週間はこんな毎日である。
昨夜から、ずっと心がざわざわ、ザワザワしている。身体の中で、ずっと大勢の人のざわめきの声が聴こえている感じである。心の表面が波打っている感じである。これは、祝島の人たちのざわめきなのか。それとも、上関原発の行く末に注目している人々の声なのか。それとも私自身のつぶやきなのか。
今日(昨日)は、この心のざわめきがすべて電子機器にあらわれた。何百枚という写真のデータが忽然と消え(原因不明)、ヴォイスレコーダーのメモリカードが、リーダーに詰まって取れなくなり、DVDへの書き出しもミス(これは私のミス。。。)
パソコンとか、家電製品ほど、ざわめく感情やささくれだった思いに敏感に反応するものはないと私は思っている。
というのも、以前、あまりに理不尽な内容のメールに激怒したその瞬間、目の前のパソコンがフリーズしてしまって以来、私はずっとそんなことを思っている。
このざわめきを越える術はないものか。
今はこれを抱えながら、今日の深夜バスで島に向う。
- 2008/10/24(金) 02:02:28|
- 映画製作
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山口県の二井知事が、昨日、上関原子力発電所の建設用地を造成するために申請されていた公有水面埋立免許について、中国電力に許可する処分決定文書を手渡した。
そもそも、原子力発電所の建設以前に、予定地となる四代田ノ浦を埋め立てるということ自体が、海への大きなダメージとなるということで、祝島の人たちは、何としてでも埋立てをさせてはいけない、と反対を続けてきているのだ。
これからまた、色々と動きが出てくると思う。
下記は、これまでの上関原発建設計画をめぐる動きである。
82年6月:加納新・上関町長が町議会で原発誘致の意向を表明
83年4月:祝島漁協(上関町)が原発反対を決議
85年9月:上関町議会が原発誘致決議
88年9月:上関町が中国電力に原発誘致を申し入れ
94年9月:国が上関原発を要対策重要電源に指定
96年11月:中電が正式に上関町、県、関係漁協へ建設申し入れ
00年4月:祝島を除く関係7漁協と中電が総額125億円の漁業補償契約に調印し建設に同意
00年6月:祝島漁協が中電などを相手取り漁業補償契約の無効確認を求めて提訴
01年4月:県知事が計画同意の意見を国に表明
01年6月:経済産業省が上関原発建設の電源開発基本計画組み入れを決定
03年3月:反対派住民が炉心用地に当たる共有地の入会権の確認を求めた訴訟で山口地裁岩国支部が入会権を認め、中国電力に現状変更を禁じる判決
05年10月:広島高裁が共有地訴訟で中国電力逆転勝訴の判決
06年3月:漁業補償無効確認訴訟で山口地裁岩国支部が、補償契約の対象海域で許可・自由漁業者の操業を認める判決
07年6月:漁業補償無効確認訴訟で広島高裁で、漁業者側が逆転敗訴の判決
08年4月:最高裁が原発建設予定地の入会権をめぐる訴訟で、住民の訴えを棄却。住民敗訴が確定
08年6月:中電が県に公有水面埋立免許願書を提出
08年9月:上関町議会が公有水面埋め立てに同意する意見案を可決
08年10月:祝島の漁業者が県に埋め立て不許可を求め提訴
- 2008/10/23(木) 04:03:15|
- 原発
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けっきょく、9月17日に島に入ってから、10月5日までの約半月、島に滞在することになった。東京に戻ってからは、9月19日に行われた上関町議会の一日を編集をしている。
この日、中国電力から出された「原発建設予定地」海域の『公有水面埋立て免許願書』に対して、上関町議会で意見案が上程され、賛成9、反対4で可決されたのである。
その時、役場の廊下にいた私は、漏れ聞こえてきた議長の声で、可決されたことを知った。胸がぐーっと押しつぶされそうになった。そうして、やるせない気持ちでいっぱいになった。そして、ああ、島の人たちはこんな思いを26年間、繰り返してきたのだと思ったら、いかんと思いながらも涙がおさえられなくなった。
議会が終わり、島の人たちと臨時便に乗って帰る船上、みな一日の座り込みで疲れを浮かべながらも、それでもいつものように元気に話し、時には笑い声まで聞こえてくる。みんなが共通して抱く、暗くて深い悲しみの中でも、こんなことに負けちゃいけん、また明日から今までどおりにやっていくんだ、という暗黙の団結力を全身で感じた。何度も何度も打たれてきたゆえの鋼のような強さをみるような気がした。そして、そうだ私もできることをしなければと強く思いながら、島に帰ってきたのであった。
- 2008/10/21(火) 10:00:15|
- 原発
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