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今から祝島に行ってきます!

ブログの更新を、と毎日気にかけながら、
バタバタ時間が過ぎてしまいました。

大陸方向へ抜けるかと思った台風13号が、
日本に向かって急カーブ。
この調子だと、19日にあたりには、
祝島も暴風域圏内となりそうです。

祝島は台風の通り道とも言われていて、
その様子は凄まじいと、いつも島の人から聞いていました。
潮は、海岸沿いの民家まで上がり、
その暴風で、家々の窓ガラスは割れ、
瓦も吹き飛ぶのだそうです。

昔から、島に台風が来る度に、
知恵をこらし、助け合いながら、生活を、家を守ってきた。
台風は、島の生活、文化を形作る
大きな要素となっていると感じています。

ということで、台風上陸の様子を撮影すべく、
急遽、今日から島に入ることにしました。

行ってきます!


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  1. 2008/09/17(水) 06:53:10|
  2. 撮影編
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私が映画をつくるわけ 〈『アレクセイと泉』との出会い〉

 ブログに書きたいことはたくさんある。特に、祝島の人たちのことや、この夏の撮影中の出来事を、早く書き留めておきたいのだが、またその方が、読んでいただくのも楽しいだろうと思うのだが、でもここは焦らず、まずは、私がどうして自分で映画をつくろうと思うまでに至ったのか。少し長くなるが、その話しからはじめたいと思う。

「あなたが一番影響を受けた映画はなんですか?」
と問われれば、私は迷わず『アレクセイと泉』と答えるだろう。
この映画は、私が仕事として初めて製作、宣伝、配給に携わった映画であり、ひとつの作品を何十回と繰り返して観た最多鑑賞映画であり、そして何より、私自身に大きな変化と気づきと、そして希望を与えてくれた映画なのである。

 こんなふうに書くと、いかにも作り込まれた大作映画のように聞こえるが、作品自体は、至って地味なドキュメンタリー映画である。

 ベラルーシの小さな村に住んでいる55人のじいちゃんばあちゃんと、ひとりの青年アレクセイが、ただひたすら土を耕し、泉から水を汲み、豚に餌をやり、薪を割り、食事を作り、酒を飲み、ダンスをし、洗濯をし、そして泉からまた水を汲む。その日常を淡々と映し出す。特別なことは何もない。ただ、その地が、チェルノブイリ原発事故の最も深刻な被害を受け、地図から消された村ということ、でも村の中心に湧き続ける泉だけは、未だにまったく汚染されていない、ということをのぞいては…。

 移住勧告が出されても尚、その村に住み続ける老人たちに、
 なぜこの村を出ていかないのかと尋ねれば、

 「ここには百年の泉があるからさ」

 「一緒に暮らしている動物たちはどうするんだい?
  この子たちを残して街へ行くことなんてできやしない」

 「この泉からいただいた水は、ここで返さなきゃいけない」

 そう答えるのだ。

 そこに映し出されるじいちゃん、ばあちゃんが、その深く刻まれた皺くちゃだらけの顔が、泥が染み込んだまるで熊手のような手が、本当に美しいのである。

 この村の生活では、ほとんど電気を必要としない。それが、電気を生み出すための原子力発電所の爆発事故で、人が住んではいけない危険地帯になってしまった。それでも、村人たちはそれを呑み込んで、いつもと変わらず、汚染された土を耕し、そこでできた作物を食べ、暮らし続けている。

 七十歳を過ぎたじいちゃん、ばあちゃんが、放射能汚染から逃れるよりも、残りの余生を今まで通りに村で生活したい、この故郷で骨をうずめたい、と留まることは、この私でもどうにか推し量ることができる。でもアレクセイは三十四歳の働き盛り。幼少の頃に患った小児麻痺の後遺症が残っているものの、でもとても知的で、おだやかで、労働で鍛え抜かれたそのたくましい肉体といったら、そこらの日本の若者の比ではない。まだまだこれからの人生である。その彼がこう言うのである。

 「運命からも、自分からも、どこにも逃げられない。
  だから僕もここに残った」

 そうして、老人たちの手伝いをいってに引き受け、動物たちに優しく話しかけ、黙々と日々の作業をこなすのである。

 村の中心に湧き続ける百年の泉。保健局の人が来て、何度検査をしてみても、汚染値はゼロ。この奇跡の泉は、いつも変わることなく、まるで村人を見守っているかのように、清冽な水をたたえ続けている。そして、その泉を、まさに心の拠り所のようにして、今日もまた、村人は水を汲みに来るのである。


 この村人たちの、生きる姿を見ているとき、絶え間なく湧き続ける泉を見る度に、私の身体の底から、ふつふつと込み上げてくるものがある。それは、この世界の不条理に対する怒りよりも、市場経済優先であることへの虚しさよりも、これからこの村人やこの世界はどうなっていくのだろうかという憂いよりも、それよりもなによりも、よし、私も生きていこう、と思える未来への希望なのである。
 まさに“悲劇”であるはずの話しなのに、私はそこにいつも希望という名の生きる力をもらうのである。

 この世の中を動かしているのは、国家?政治?マスメディア?投資会社?確かにこれらの力は絶大である。ごく限られた階層の力で、操作されていることばかりである。でもそれとはどこかまったく違う次元で、“生きる”という営みは、いつでもどこでも続いている。悲しみや喜び、怒りや憂い、愛や憎しみ、そんなものを全部ひっくるめて、胸に抱きながら、人は生きていく。自分が今いる場所で、自分の生と向き合っている。かけがえのない、無数の生の形がある。その生をひたむきに生きようとしている姿に出会う時、私は心から尊くて美しいと感じ、これ以上に大切なものって何があるのだろうと思えてくるのだ。

 『アレクセイと泉』のじいちゃんばあちゃん、アレクセイから、そして本橋成一という人のまなざしに、私はそれを教えられたのである。

 悲しいもの、怖いもの、汚いものは見たくない、知りたくないということではない。いや、私はもっともっと知らなければいけない。見なくてはいけない。聞かなくてはいけない。
 そして日々、その生を巡って、様々な葛藤や戦いが起きているわけだけれども、それに向き合いつつも、でも、いつでも最後には、希望を、未来への希望を見出せる人間でありたいと強く願うのである。

 そして、もしこれから自分で何かを表現できる時がきたのなら、その希望につながるものを作り出したい、と思うようになった。

 そう、私の中にも、百年の泉が、フツフツと湧き出したのである。


ポレポレタイムス社 http://polepoletimes.jp/times/
サスナフィルム http://www.ne.jp/asahi/polepole/times/sosna/index.html



  1. 2008/09/09(火) 02:05:57|
  2. 映画製作
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墨田区生涯学習センターに行ってきました

 今日は、「瀬戸内の原風景 長島」DVD上映会に行ってきました。

 祝島が属している上関町とは、山口県の最南端に位置し、周防灘に突き出した室津半島と、長島・八島・祝島の有人島から形成されています。長島は、上関原発の建設予定地となっている田ノ浦がある島で、未だに自然の海岸線が残っており、希少生物も数多く生息しています。原発の建設が始まれば、この湾に面する山が削られ、大部分が埋め立てられることになります。DVDは、希少生物の紹介をはじめ、既に原発を建設するにあたり始まっているボーリング調査で、深刻な影響が出始めている現状を説明しているものでした。

 会の後半には、私が出会った祝島の人のこと、何に心を動かされて映画を撮ることになったかについてを、お話しさせていただきました。

 終了後には、何人かの方たちと一緒に昼食をいただきながら、色々な話しをしました。みなさん、何か自分にできることはないかと真剣に考えていらっしゃる方ばかりでした。

 この会を主催して下さった方は、祝島で3歳まで育ち、島を離れてからも、休みになる度に島に帰省し、自分は島の人たちに育ててもらったようなものだとおっしゃいます。そして、あるとき、反対運動の様子を撮った写真の中に、いつも優しく笑顔で自分のことをかわいがってくれていたおばさんが、必死の形相で建設反対を訴えている姿を見つけます。その時から、もういても立ってもいられなくなり、自分にできることを、地道にコツコツと続けていらっしゃるとのことでした。

 私も、私にできることをひとつひとつしていこう、自分自身の心を開いて、人と出会い、思いを交感していこう、とあらためて思ったのでした。


 
  1. 2008/09/07(日) 23:45:35|
  2. つながる
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9月7日「瀬戸内の原風景 長島」DVD上映会

9月7日に墨田区の生涯学習センターで、
「瀬戸内の原風景 長島」のDVD上映会があります。

この会で、私が祝島の映画を製作するに至ったお話しを少しさせていただくことになりました。
8月の神舞のロケの様子なども交えて、お話しできればと思っています。

詳細は下記の通りです。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

瀬戸内海長島からのメッセージ

「瀬戸内の原風景 長島」DVD上映とお話
日時:2008年 9月7日(日) 10:00~12:00
場所:ユートリヤ(墨田区生涯学習センター )視聴覚室
   墨田区東向島2-38-7  TEL:03-5247-2001
主催:長島の自然を守る会

山口県熊毛郡上関町長島の突端に田ノ浦という風光明媚な湾があります。
ここはかつて神社地だった場所に深い森がありました。
その森から流れ出る水と、海にわき出る清水とに恵まれて
数々の希少生物が今も数多く生息しています。
ところが今、その希少生物の宝庫にかつてない危機が訪れようとしています。
かねてこの地に原子力発電所の建設を計画していた中国電力が
去る6月17日、山口県に対して公有地の埋め立て申請をしました。
もし、山口県から公有地埋め立て許可が下りると、
深い森のあった山は削られ海は相当な範囲を埋め立てられてしまいます。
そうなると、この地に生きる希少生物たちは壊滅的な打撃を受けることでしょう。
瀬戸内海は日本で最初に指定された国立公園で、国民の貴重な財産でもあります。
長島は瀬戸内海で唯一と言ってもいいほどの自然な海岸線を残した場所です。
この貴重な場所を手つかずのまま未来の人たちに渡すためにどうすればいいか、
この地に生息する希少生物の写真を見ながら考えていきましょう。



  1. 2008/09/05(金) 00:12:21|
  2. イベント
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時間がかかりました。。。

ブログをはじめる時に、
できるだけ自分でカスタマイズできるようにと、
一番シンプルなテンプレートを選びました。

でも、なんせブログは初めて。
スタイルシートを解読するのに四苦八苦。
記号をひとつ加えてはプレビューしての繰り返し。


シンプルすぎて、開く度にさびしいなあと思っていたタイトル部分に
ようやく手を加えました。

一歩一歩、ひとつひとつ、焦らずに、です。




  1. 2008/09/04(木) 03:09:29|
  2. ブログ
  3. | トラックバック:0

中国新聞で紹介されました

映画製作のことが、中国新聞で取り上げられました。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200808240134.html


  1. 2008/09/02(火) 11:21:53|
  2. マスコミ
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応援する会が立ち上がりました

映画製作を進めていくにあたり、大きなことのひとつに、製作資金の調達があります。これから色々と智恵を絞って、動いていかなくてはいけませんが、そのひとつとして、この度、映画を応援する会を立ち上げていただくことになりました。

既に島の方々をはじめ、製作協力金が集まり始めました。
ご賛同いただいた皆様には、心から、心からお礼申し上げます。

1口5000円というのは、決して少ない額ではありません。
とても重みあるものと受け止めています。
協力金の中に込められた皆様の想いを、
これから責任を持って映画に込めていきたいと思っています。

下記が、応援する会の詳細となります。
どうぞよろしくお願い致します。


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映画『祝の島』製作応援のお願い

山口県、上関町、祝島。
何代にも渡り漁業、農業を営む人々が暮らす、瀬戸内の小さな島です。
この島はいま、かつて無い転機を迎えています。
26年前から建設計画が持ち上がっていた、上関原子力発電所の着工の足音が聞こえてきているからです。
ひとりの女性がこの島に惚れ込み、ドキュメンタリー映画の製作をはじめました。
島の人たちが受け継いできた暮らし、原発建設に反対して守りたい生活の中には、
私たちの未来に必要な何かがある、と彼女は言います。
その思いに共鳴し、この映画を応援する会を立ち上げました。
映画の製作にご協力いただくと同時に、
祝島のことを、みなさんにたくさん知っていただきたい。
島を思う人がひとり増えることから、祝島のこれからに、
そのひとりの人の生活の中に、あたらしい風が吹くことを願ってやみません。
そのかけ橋の役目を、微力ながらつとめてゆきたいと思います。
どうぞご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
                                                     ---------------- 映画『祝の島』を応援する会事務局

○製作協力金:一口 5,000円
   *お振込をもって入会となります。
   *法人名でもお申込いただけます。

○郵便振込口座:00180-1-357684 映画『祝の島』を応援する会

○会の目的:映画『祝の島』製作、上映を応援すること
   ☆撮影報告を兼ねたお便りをお送りします。

○問合せ先:映画『祝の島』を応援する会事務局 中植きさら
      〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1-7F(ポレポレタイムス社内)
      TEL:03-3227-3005 FAX:03-3227-1406
      Email:houri@polepoletimes.jp



  1. 2008/09/02(火) 01:13:38|
  2. 応援団
  3. | トラックバック:0

KBC映像との出会い

 撮影中にある方からいただいた言葉です。
 「撮影する対象に自分を限りなくゼロに近づけて向き合うこと、パワーで撮らないこと」

 これから祝島のことを新たに知り、様々な局面に立ち会うことになる中で、自我にしがみつくことなく、そして自分の思いを都合よく対象に投影するのではなく、目の前のことをそのまま受け止めること。そして受け入れること。とても難しいことですが、そのことをいつでも心に置いて、これから祝島へと足を運びたいと思っています。

 先の言葉をいただいたある方というのは、KBC映像の笹栗社長です。
 そう、今回の映画の撮影には、全面的にKBC映像にご協力をいただいており、私と同年代の女性カメラマン、大久保千津奈さんに毎回同行いただいているのです。

 今回の映画の撮影にご協力いただけないかと、6月に福岡のKBC映像を訪ねた時、正直、私はまったく期待していなかったのでした。一年以上もの撮影期間がかかり、製作費も超低予算。このご時世、こんなお金にならない話しを、一般企業がそうそう引き受けるわけがない、と決め込んでいたのでした。

 笹栗社長を目の前にして、私の映画製作への想いをひとしきりお伝えすると、社長は開口一番、「資料を読ませていただいた時から、製作主旨にとても興味を持ちました。あなたの情熱もよくわかりました。こういった仕事を会社としてもしていかなければと思っていたところでした。全面的に協力させていただきます。」
 耳を疑いました。こんなことってあるのだと。同時に、この映画製作は、私の個人的な想いから始まったことではあるけれど、でももう自分だけのものではないのだと、確かに感じた瞬間でした。

 プロデューサーの本橋さんから、カメラマンもぜひ女性でという提案があり、10年のキャリアを持つ大久保さんが引き受けて下さることになりました。彼女をひと目見た時、なぜか初めて会ったような気がしませんでした。そして、きっとこの人となら、これからの長い道のり、切磋琢磨し合いながら、一緒にいいものが作っていける、なによりきっと島を好きになってくれる、そう直感で思いました。

 KBC映像の笹栗社長、大久保さんとの出会いは、島の人たちとの出会いと同じくらい、私にとって大きく嬉しいものとなりました。

KBC映像 http://www.kbceizo.co.jp/index.html
 
  1. 2008/09/01(月) 02:07:36|
  2. 映画製作
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