8月7日から約半月の祝島での撮影生活を終えて、東京へ戻ってきました。今回は、島の最大行事である神舞の準備風景から、祭りが終わった翌日の舞小屋の撤収までを映像に収めることが目的でした。
島を出てからのこの一週間、なんだか身体も心ももぬけの殻状態でした。するべきことはたくさんあるのに力が湧いてきません。島での毎日は、猛暑の中、朝から晩まで撮影が続いていたので、その疲れが出たのだと最初は思っていたのですが、はたと思い至りました。島にいた時の自分があんなに元気だったのは、島からも島の人たちからもたくさんのパワーをいただいていたこと、そして島の人たちのつながりに加えていただいて動いていたからだったのだということ。そして、五年前に初めて島を訪れた時のことをまた思い出しました。
当時、写真家で映画監督である本橋成一氏の下で仕事をしていた私は、『アレクセイと泉』という映画の上映会をするために祝島を訪れたのでした。島では、上関原発建設反対運動が、既に二十年間続けられていました。暗く閉ざされた状況を思い描き、緊張して島に降り立った私を迎えてくれたのは、とびっきり明るくて豪快で、気前の良いばあちゃんたちと、無口ではにかみやで、でもいかにも人なつっこそうなじいちゃんたちでした。彼らは、映画は静かに観るものという常識を打ち破り、まるで近所で起きていることのようにスクリーンに向かって話しかけ、大笑いするのでした。たった一日半の滞在の中で、私は自分の故郷に帰ってきたような気持ちになっていました。自分でも不思議なくらい明るくて嬉しい気持ちになって、ものすごく元気になっていました。またこの島に来たい、もっとこの島の人たちのことを知りたい、そう強く思いながら、島をあとにしたのでした。
そして今年、祝島のドキュメンタリー映画を製作しようと決心し、三月から島に通うようになりました。
どうして映画を作ろうと思ったのかと聞かれれば、祝島という島に、そしてそこに暮らす人々に強く惹かれてしまったからですと答えます。では、どんなところに惹かれたのかと問われると、色々と口にしてみるのですが、どの言葉を用いても核心を言い当てることができないような感覚に陥ります。その答えとなるものは、言語化できない何かであるような気がしています。その“何か”を映しとって映画にしたいと強く思っています。そしてそれは、島の人々の生きる姿から伝わってくるものではないかと思っています。
さぁ、元気を出して、まずは、半月の撮影で撮ってきたもののラッシュと、
そして製作資金集めに奔走です!
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テーマ:日記 - ジャンル:日記
- 2008/08/30(土) 11:05:37|
- 撮影編
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いよいよブログ開設となりました。
これから映画製作にまつわることを、少しずつ書いていけたらと思います。
まずは、明日から始まるロケの様子を!とはりきっていたのですが、
今回は自分のパソコンを持っていくことを断念しました。
帰ってくるまでしばらく時間が空いてしまいますが、しばしお待ち下さい。
8月16日から祝島の最大の行事、四年に一度行われる神舞という祭りが始まります。
島の人たちにとって、まさに晴れの舞台、大きな心の支えとなっている祭りです。
島も、年々過疎化が進み、現在では人口約530人となっていますが、
この時とばかりは、祭りを見に帰省する親戚の人や、観光客で、
島が沈むのではないかというほどの賑わいを見せます。
島の人に聞いた話しで、とても印象的だったのは、
自分たちの神舞は準備の時から始まり、
本番が始まったら、自分たちの祭りは終わり。
そこからはお客様が楽しむもの。
そして、自分たちはこの時に合わせて帰ってくる大勢の親戚の
接待係に徹するのだ、ということでした。
島の人たちにとっての“もうひとつの神舞”を感じることができたら、ということで、
明日から神舞が終わるまでの二週間、島に行ってきます。
準備期間の様子を丁寧に撮影してきたいと思います。
映画製作への緊張感を感じながらも、
それでも明日から再び祝島を訪れることを思うと、
嬉しい気持ちでいっぱいになってきます。
また島のみんなに会えると思うとワクワクします。
いざ祝島!です。
- 2008/08/07(木) 05:04:21|
- 映画製作
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