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ラーメン1杯380円

午前中に所用を済ませ、めったにないことなのだが、地元でお昼ご飯を食べていこうとある店に入った。すぐそばには行列ができる評判のラーメン屋もあるのだが、入ったところは、私が小さい頃からある中華料理屋さん。いかにも町のご飯屋さんといった風情で、中華以外でも、色々な定食があるお店だ。ここは、小学校時代の同級生の親がしているお店なのだ。

ひとりカウンターで厨房の様子を眺める。同級だったSくんにそっくりなおじさんが、リズムよく中華鍋を揺らし、手際よく野菜を炒めていく。空のコーン缶に卵を割り溶き、鍋に流し込む。その動作、ひとつひとつがいちいちきまっていて、思わずじーっと見入ってしまう。きりっと閉じたその口元と、肉厚の手を見ていると、もう20年近く会っていないSくんが、立派な大人の姿になって、目の前に立ち現れてくるようだった。

湯気のたつふっくら大盛りのオムライス。懐かしくて、やさしくて、特別なことはなにもない、身体の芯からほっとする味。何十年も、毎日厨房に入り、中華鍋片手に料理し続けているおじさん。ラーメン一杯380円で、わたしの同級生のSくんは、育ったんたんだなあ…。そんなことを思いながら、おじさんの背中姿を見ていたら、鼻の奥がツーンとしてきて、あっまずい、と思った時には涙が出ていた。

Sくんは、きっとすっかりいい大人になって、父親になって、やっぱりお父さんのように毎日一生懸命働いているに違いない。

そんなことを思いながら、今日も仕事場に向かった。




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  1. 2010/01/10(日) 14:51:59|
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